「夜ご飯の時間になったらおもちゃを片付けるって約束したよね? なんでまだ散らかってるの?」
――子育ての中のご家庭では珍しくないこのセリフ。
もしかしたら、こんな感じでつい怒ってしまうという方もいるかもしれません。
そしてそんな方は、こうやって頑張ってしつけようとしても「あまり効果がないな……」と薄々感じているかもしれません。
そこで今回は、伝え方のコツとして非常に有名な「アイメッセージ」について解説します。
- 子供にどう伝えていいかいつも迷ってしまう
- 仕事で部下や上司に対し、もう少し当たり障りのない要望の出し方を身につけたい
- 日常のコミュニケーションをほんの少しでも楽にする方法はないかなと思っている
そんな方には必修の内容となっております!
それではいきましょう。
そもそも「アイメッセージ」とは?
人との会話術――いわゆる「コミュニケーションスキル」は世の中にたくさん存在します。
「アイメッセージ」とは、そのたくさんある「スキル」の一種だと思ってもらってOKです。
ちなみにアイメッセージと反対の「ユーメッセージ」というものも一応あるので、まとめて紹介します。
- ユーメッセージ……会話の主語を「あなた」にして相手に伝える
- アイメッセージ……会話の主語を「わたし」にして相手に伝える
アイメッセージは「私は〇〇だと感じる」「私はこうしたい」というように、主語を自分にする話法と言えるでしょう。
冒頭のセリフ、
夜ご飯の時間になったらおもちゃを片付けるって約束したよね? なんでまだ散らかってるの?
は典型的なユーメッセージです。主語を補ってみましょう。
【ユーメッセージ】
(あなたは)夜ご飯の時間になったらおもちゃを片付けるって約束したよね? なんで(あなたのおもちゃは)まだ散らかってるの?
相手を主語にすると、ものごとがより直接的に伝わる反面、相手を責めるというニュアンスが含まれやすくなります。
これをアイメッセージに切り替えてみます。
おもちゃが散らかっていると、約束を破られた気持ちになって悲しいな……。夜ご飯の前に片付けてもらえるとすごく嬉しいんだけど。
同じように主語を補うと、
【アイメッセージ】
おもちゃが散らかっていると、(わたしは)約束を破られた気持ちになって悲しいな……。夜ご飯の前に片付けてもらえると(わたしは)すごく嬉しいんだけど。
受ける印象がかなり違うのではないでしょうか?
アイメッセージの効果
アイメッセージを上手に使える人は、相手に不満を抱かせずに行動してもらったり、周りの人たちとの関係を円滑に保ったりすることができます。
つまり結果的に、「仕事や家庭でうまくいく」ということ。
そんなアイメッセージ効果について具体的に解説していきます。
相手に不満を抱かせない
先ほどの例の通り、ユーメッセージでは相手の欠点を指摘するニュアンスになりやすいです。
- あなたいつも◯◯だ。
- あなたは◯◯するべきだと思う。
- あなたは◯◯だと考えないのか。
というように、主語があなただと、人によっては詰問されているように感じてしまうわけですね。
対してアイメッセージは、文面だけ見るとは相手にはなにも要求しておらず、あくまで「自分の考えや気持ち」を伝えているにすぎません。
自発的な行動を促す話法とも言えるので、指示されたことよりもずっと気持ちよく、相手も行動に移せるのです。
周りの人たちとの関係を円滑に保つ
よく言われることですが、仕事における悩み事の9割は「人間関係」に帰着します。
- ◯◯さんにあの仕事を依頼しなきゃいけないけど、この仕事は◯◯さんの嫌いな細かい事務作業なので、気が重い。
- この業務時間がかかるし、締切に間に合わなそう。◯◯さんは締切にうるさい人だから、遅れると面倒なことになるな……。
など、実際には「業務を依頼する」「タスクを期限内に終わらせる」という普通の仕事が、相手がいることによりストレスに感じることがよくあるわけですね。これを「感情労働」なんて呼んだりもします。
上手にアイメッセージを使えると、この人間関係に起因するストレスを軽減することができます。
試しに、上の例にアイメッセージを使ってみると、こんな感じになるでしょう。
- 「この業務少し難しいんですけど、◯○さんなら(私は)安心してお任せできるんです」
- 「この業務なんですが、どうしても締切までに終わらなそうで。私としては手を抜かずに終わらせて○○さんへ提出したいんですが、●日まで待っていただけると(私は)大変助かります」
もともと気の重い仕事だったのが、アイメッセージを使うことでむしろ相手を信頼していることや自分は仕事に手を抜かないことなど、プラス面をアピールすることができます。
こうしたコミュニケーションの繰り返しが、周囲の人たちとの関係をより良くしていくわけですね。
実践編! アイメッセージを使いこなすコツ
なかなか普段の会話で意識するのが難しい……
そんな方のために、アイメッセージを使いこなすためのコツをご紹介!
僕のおすすめは、アイメッセージになりやすい定型文を「口癖にしてしまう」というものです。
【自然とアイメッセージになる〝口癖〟3選!】
- ◯◯してもらえると助かります。
- ◯◯してもらえると嬉しいです。
- ◯◯となると、少しつらいです。
他にも自分の気持ちを伝える方法はたくさんありますが、自然で誰でも使いやすいものはこの辺りです。実際職場でもこうした言い回しはよく耳にするのではないでしょうか?
また3つ目に書いたように、アイメッセージはネガティブなコミュニケーションのときも効果を発揮します。
もちろん乱用すると「あの人自分ばっかり苦労してると思ってるよね……」と思われてしまうかもしれませんが、つらいと感じる場面で我慢したり、言葉にせずに態度で発散するのは絶対にいけません。
言語化し相手に伝えてこそ大人。それができないのは駄々をこねる子供と同じ――僕はそんなふうに意識しています。
終わりに
冒頭の例文のように、アイメッセージは育児にも応用可能。
というか、子供に対してのコミュニケーションにおいてこそ重要です。
アイメッセージは「相手の気持ちを理解し、相手を思いやって行動する」きっかけになるからですね。それが子供にとって重要だということは論を俟たないでしょう。
それでは今日はこの辺で。したっけねー!
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